未来の住まいZEH(ゼッチ)とは?メリットとデメリットを分かりやすく解説
家を建てる、それは人生における大きな決断です。
快適で安全な住まいを手に入れるには、様々な要素を考慮しなければなりません。
その中で近年注目を集めているのが、ZEH(ゼッチ)住宅です。
ZEH住宅とは一体どのようなものなのでしょうか?
この文章では、ZEH住宅のメリット、デメリット、そして実現するための方法を、分かりやすく説明します。
これから家づくりを始める皆様にとって、少しでも参考になれば幸いです。
ZEHとは何か
ZEHの定義
ZEHとは、「Net Zero Energy House」の略で、日本語では「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」と呼ばれます。
「ゼッチ」と読みます。
ZEH住宅は、年間のエネルギー消費量と創出量がほぼゼロになる、またはゼロ以下になることを目指した住宅です。
具体的には、高性能な断熱材(例えば、セルロースファイバー、グラスウール、ウレタンフォームなど)や高断熱窓(Low-E複層ガラスなど)、省エネ型の設備機器(高効率給湯器、ヒートポンプ式エアコンなど)などを用いてエネルギー消費量を極限まで削減し、さらに太陽光発電システム(太陽電池モジュール、パワーコンディショナなど)などの創エネ設備によって、消費エネルギーを上回るエネルギーを創り出すことで実現します。
例えば、年間のエネルギー消費量が1000kWhだったとすると、太陽光発電で1000kWh以上発電することでZEH基準を達成します。
ZEH住宅は、単に省エネルギーな家というだけでなく、積極的にエネルギーを創り出すことで、エネルギー収支をゼロ以下にしようとする点が大きな特徴です。
ZEHの目標
ZEH住宅の目標は、地球温暖化対策の一環として、住宅部門からのCO2排出量を削減することです。
日本のエネルギー自給率の低さ(約10%程度と非常に低い)や、地震や台風などの自然災害への備えという観点からも、ZEH住宅への注目は高まっています。
2050年カーボンニュートラル実現に向け、政府もZEH住宅の普及促進に力を入れており、様々な補助金制度が設けられています。
これは、再生可能エネルギーの活用促進とエネルギーセキュリティの強化にもつながる重要な取り組みです。
ZEHの種類
ZEHには、一次エネルギー消費量の削減率によって、ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedなどに分類されます。
これらの基準は、建築物の省エネルギー性能表示制度(BELS)によって評価されます。
BELSは、住宅の省エネルギー性能を星の数で評価する制度で、ZEH住宅は高い評価を得ることが期待できます。
・ZEH
一次エネルギー消費量の削減率が20%以上、創エネを含めた一次エネルギー収支が100%以上(つまり、ゼロ以下)の住宅。
これは、年間のエネルギー消費量を従来の住宅と比較して20%以上削減し、さらに太陽光発電などで消費量以上のエネルギーを創出することを意味します。
・Nearly ZEH
一次エネルギー消費量の削減率が20%以上、創エネを含めた一次エネルギー収支が75%以上の住宅。
寒冷地など、日照時間が少なく太陽光発電による創エネが難しい地域を考慮した基準です。
・ZEH Oriented
一次エネルギー消費量の削減率が20%以上の住宅。
創エネ設備は必須ではありません。
都市部狭小地など、太陽光発電の設置が困難な住宅を対象とした基準です。
これは、省エネルギー性能に重点を置いた住宅で、将来的に創エネ設備を追加することも可能です。
・ZEH+
ZEHの基準を満たし、さらに省エネ基準比25%以上の一次エネルギー消費量削減、またはHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)によるエネルギー管理、電気自動車の活用など、追加の省エネ・創エネ対策を実施した住宅。
例えば、高効率な給湯器や、蓄電池システムの導入などが挙げられます。
・Nearly ZEH+
Nearly ZEHの基準を満たし、ZEH+と同様の追加対策を実施した住宅。
・次世代ZEH+
ZEH+の基準に加え、V2H(Vehicle to Home)システム、蓄電設備、燃料電池、太陽熱利用温水システムなどの高度な設備を導入した住宅。
これらの設備は、より高度な省エネと創エネを実現し、災害時の自立性を高める効果も期待できます。
ZEH住宅のメリット
光熱費削減効果
ZEH住宅は、高断熱・高気密性能と省エネ設備によって、従来の住宅と比べて大幅な光熱費削減効果が期待できます。
例えば、断熱性能の高い窓や壁を使用することで、冷暖房の効率が向上し、光熱費を削減できます。
太陽光発電システムを導入していれば、さらに光熱費を削減できるだけでなく、余剰電力を売電することも可能です。
地域や気候条件、ライフスタイル、住宅の規模によって差はありますが、年間数十万円、場合によっては100万円を超える光熱費削減も現実的です。
これは、家計への大きな負担軽減につながります。
環境への貢献
ZEH住宅は、CO2排出量を削減することで地球温暖化対策に貢献します。
省エネルギー化と再生可能エネルギーの活用により、環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現に寄与します。
これは、未来世代への責任を果たすという意味でも大きなメリットと言えるでしょう。
具体的には、CO2排出量の削減による地球温暖化抑制、大気汚染の軽減、資源の有効活用など、多様な環境問題への貢献が期待できます。
資産価値向上
ZEH住宅は、高い省エネルギー性能を有しているため、中古住宅市場においても高値で取引される可能性があります。
BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)で高評価を得られることも、資産価値向上に貢献するでしょう。
将来的な売却を考慮すると、ZEH住宅は賢い選択と言えるかもしれません。
特に、環境意識の高い購入者にとっては、大きな魅力となるでしょう。
ZEH住宅のデメリット
初期費用負担
ZEH住宅は、高性能な断熱材、省エネ設備、創エネ設備などの導入が必要となるため、初期費用が高額になる傾向があります。
一般的な住宅よりも建築費用が高くなることを覚悟しておかなければなりません。
具体的には、高性能な断熱材、高断熱窓、高効率給湯器、太陽光発電システムなどの導入費用が、従来の住宅よりも高くなります。
しかし、長期的な視点で見れば、光熱費削減効果や資産価値向上によって、初期投資は回収できる可能性が高いです。
住宅ローンを活用したり、補助金制度を有効活用したりすることで、初期費用負担を軽減することも可能です。
技術的課題
ZEH住宅を実現するには、高度な技術と専門知識が必要です。
設計段階から施工、メンテナンスまで、信頼できるZEHビルダーやZEHプランナーの登録がある業者を選ぶことが重要です。
技術的な課題を理解し、適切な業者選びを行うことで、安心してZEH住宅に住むことができるでしょう。
例えば、断熱材の施工不良による結露問題や、太陽光発電システムの故障などが考えられます。
依頼前にしっかりと見積もりを取り、検討することが大切です。
天候への依存性
太陽光発電は、天候に大きく左右されます。
日照時間が少ない地域や、曇りや雨の日が多い地域では、発電量が減少し、エネルギー収支ゼロを達成することが難しくなる可能性があります。
蓄電池システムなどを導入することで、天候への依存性を軽減できますが、追加費用が必要になります。
地域特性を考慮した太陽光発電システムの設計や、蓄電池システムの導入、その他の創エネ手段との組み合わせなどを検討する必要があります。
ZEH住宅を実現するには
省エネ対策
ZEH住宅を実現するためには、まず省エネ対策が不可欠です。
高性能な断熱材(例えば、外断熱、内断熱、充填断熱など、適切な断熱方法を選択する必要があります)や高断熱窓(Low-E複層ガラス、トリプルガラスなど)、省エネ型の空調設備(ヒートポンプ式エアコン、全館空調システムなど)、LED照明などを導入することで、エネルギー消費量を大幅に削減できます。
HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を活用することで、エネルギー消費状況を把握し、より効率的な省エネ対策を行うことができます。
例えば、窓の配置や大きさ、日射遮蔽の工夫なども、省エネ対策に大きく影響します。
創エネ設備
太陽光発電システムは、ZEH住宅における主要な創エネ設備です。
屋根の形状や向き、日照条件などを考慮して、最適なシステムを設計・設置することが重要です。
太陽光発電以外の創エネ設備として、風力発電や地熱発電なども検討できますが、設置できる環境やコストなどを考慮する必要があります。
太陽光発電システムの導入にあたっては、発電量シミュレーションを行い、最適なシステム容量を決定する必要があります。
補助金制度活用
国や地方自治体では、ZEH住宅の普及促進を目的とした補助金制度が設けられています。
ZEHの種類や設備内容によって補助金額は異なりますが、最大で100万円を超える補助金が支給される場合があります。
補助金制度を活用することで、ZEH住宅の建築費用を軽減することが可能です。
補助金の申請要件や手続きについては、各地方自治体のホームページなどで確認しましょう。
補助金の申請には、ZEHビルダーやZEHプランナーの登録がある業者を利用する必要があることを覚えておきましょう。
補助金制度は、自治体によって異なるため、事前に確認することが重要です。
まとめ
ZEH住宅は、省エネと創エネを組み合わせることで、エネルギー消費量を削減し、環境負荷を低減する住宅です。
光熱費削減や資産価値向上などのメリットがある一方、初期費用や天候への依存性といったデメリットも存在します。
ZEH住宅を実現するには、高性能な断熱材や省エネ設備、創エネ設備の導入、そして補助金制度の活用が重要です。
それぞれのメリット・デメリットを十分に理解し、ご自身のライフスタイルや予算、土地の条件などに合った最適なプランを選択することが大切です。
ZEH住宅は、快適な暮らしと環境保全を両立できる、これからの住宅のスタンダードといえるでしょう。
計画段階から専門家と綿密に相談し、長期的な視点で検討することが重要です。
当社は、大好きな家で長く安心して暮らしていただくための、さまざまな設備や工法を標準仕様としています。
家づくりをお考えの方はぜひ当社までご相談ください。